不妊のこと

01.不妊とは?

健康な男女が妊娠を希望し、避妊をしないで「一定期間」夫婦生活を行っても妊娠しない状態を言います。

避妊をせずに性行為を続けた場合、1年で80%・2年で90%が、妊娠する!

通常の夫婦生活を送っていると、1年で80%、2年で90%のカップルが赤ちゃんを授かるとされています。残りの10%が不妊症と考えられ、タイミングを見計らっても自然に妊娠する可能性は低くなります。
自然妊娠しない「一定期間」の目安は、日本産科婦人科学会では1年としています。

02.不妊の検査や治療を受けたカップルは、4.4組に1組

不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは4.4組に1組の割合で、増え続けています[第16回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所(2021年)より]。

夫婦の4.4組に1組
不妊治療や不妊の検査をしている
夫婦の4.4組に1組が不妊治療や不妊の検査をしている

不妊は女性だけの問題と思われがちですが、妊娠のメカニズムは複雑で不妊の原因は男女1:1の割合です。決して女性だけ、男性だけの原因とは言えません。子どもを望む女性だけの問題ではないのです。
また、晩婚化などによる「社会的な不妊」に対しては社会全体が取り組む必要があります。
このように不妊症は、複数の原因が絡み合って起こることが多いです。

不妊の原因は1:1不妊の原因は1:1

03.女性の原因

女性の原因画像

不妊の原因は人それぞれですが、女性の原因として多いのは「排卵障害」「卵管障害」「子宮着床障害」です。

排卵障害
自力で排卵を起こすのが難しい場合のことです。卵子はホルモンの指令によって成長しますが、ホルモンの分泌量が少なかったり、卵巣がうまく指令を受け取れないと卵子がうまく育たずに排卵が起こりにくくなります。過度なダイエットや大きなストレス、喫煙、カラダの冷え、血行不良などがその原因になることもあります。また、卵子の老化によってうまく排卵されなかったり、卵巣の表皮が硬くて卵子が外へ出られない病気によって排卵障害が起こることもあります。
卵管障害
卵巣と子宮をつなぐパイプの役割の卵管はとても細いので詰まったり、くっついてしまうことがあります。そうすると、卵子と精子が出会えなくなったり、受精卵が移動しづらくなったりして不妊の原因になります。卵管は左右2本あるので、どちらか1本が正常であれば自然妊娠できます。
子宮着床障害
子宮に何らかの原因があり、着床しにくいことがあります。子宮内膜症やポリープ、黄体ホルモンが十分に分泌されないなどが考えられますが、着床のメカニズムは神秘的ですべてが解明されているわけではありません。黄体ホルモンが分泌されない原因としては、運動不足やストレスによる自律神経の乱れなどが考えられます。

04.男性の原因

男性の原因画像

不妊の原因は男性側にもあるのですが、あまり知られていないのが現状です。男性の原因として多いのは、「造精機能障害」「性機能障害」「精路通過障害」の3つです。ただ、女性と同じように不妊の原因には個人差があり、男性不妊では約40%が原因不明と言われています。

造精機能障害
精子をうまくつくることができない状態です。男性不妊のほとんどの原因はこの造精機能障害です。この障害には、精液の中に精子が全くない「無精子症」、精子の数が極端に少ない「乏精子症」、数は十分ながらも精子に元気がない「精子無力症」などがあります。先天性のもの・精索静脈瘤(精巣上部に発生した血管のこぶ)などの病気がきっかけになるほか、アルコール、喫煙、肥満が要因になる場合もあります。
性機能障害
勃起や射精がうまくできない場合も不妊の原因になります。病気やストレス、陰茎への血流が減少することによって引き起こされるほか、性行為のタイミングなどに神経質になりすぎるという精神的な原因が考えられます。
精路通過障害
精子の通り道が狭かったり、詰まっているために、射出された精液に精子がみられない場合です。先天性のものや炎症やケガがきっかけになることもあります。

05.主な不妊治療

主な不妊治療

主な不妊治療

主な不妊治療は、次の3つです。

タイミング法
検査結果をもとに医師が排卵日を推測、医師から妊娠しやすい日について指導を受けながらその前後に性行為をすることをタイミング法と言います。タイミング法は不妊治療の一番はじめの段階です。
人工授精
子宮に精子を人工的に注入する方法です。排卵のタイミングに合わせて、元気な精子だけを送りこみます。
よく体外受精と混同されますが、全く違う方法です。体外受精より妊娠率は下がりますが、カラダへの負担・経済的負担が軽いことから回数を重ねることができます。
体外受精(顕微授精)
体外に卵子を取り出し、シャーレーの中で精子と受精させる方法です。受精卵が順調に分割して受精後2日目くらいの「初期胚」または5~6日後の「胚盤胞」の段階まで成長したら、カテーテルで子宮へ送り込みます。タイミング法や人工授精では妊娠できず、自力での受精が難しい場合が対象となります。

令和4年4月から人工授精・体外受精を含めて、基本的な治療は保険適用になりました。(一部の「オプション治療」は、「先進医療」として保険診療と併用できます。先進医療分は、治療費が全額自己負担です。)詳しくは、「厚生労働省HP」へ

06.不妊治療をして出産できる確率

不妊治療における年齢別の分娩率 年齢別の分娩率グラフ 出典 日本産婦人科学会2010を基に厚生労働省で作成

このグラフは、体外受精をして出産にいたる確率をあらわしています。
妊娠できる確率は1回平均20~30%ほどですが、グラフからもわかるように年齢により大きく変わります。
30 歳で不妊治療して赤ちゃんを授かる確率は19.9%、35歳で16.3%、40歳で7.7%、45歳では急激に減って0.6%です。子どもを望んでいるかたは一度ライフプランライフプランを作ってみてはいかがでしょうか。「子をつくる」タイミングに関して向き合うことができるかもしれません。

不妊治療をして出産できる確率

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