将来、子どもがいる人生を望む女性は特に、定期的な子宮頸がん検診をおすすめします。
子宮頸がんは、子宮の入り口部分(子宮頚部)にできるがんで、子宮がんのうちの約7割を占めます。
子宮頸がんは、20歳代から30歳代の患者さんが増えています。若い女性では乳がんに次いで2番目に多いがんです。
子宮頸がんは、病気になったとしても、前がん状態や初期はほとんど自覚症状がありません。
早期に発見されることで(前がん病変から初期までの方)、妊よう性(妊娠するための力)を保つ治療が可能か、担当医と相談して治療をすすめることが可能です。
定期的(2年に一度)に検診をうけることで、早期発見につなげてください。
お住まいの市町村や健康保険組合ではがん検診の費用の一部を補助していることがあります。
また、妊娠中でも子宮頸がん検診を受けることは可能ですので、担当医と相談してください。
(ご協力)
横浜市立大学附属病院産婦人科 部長
横浜市立大学医学部産婦人科学教室 主任教授
宮城 悦子氏
赤ちゃんはたばこがきらい
妊娠中のママが喫煙すると、血管が収縮して赤ちゃんに十分な酸素や栄養がいきわたらなくなります。また、ママ本人は喫煙しなくても、周りの人が喫煙すると受動喫煙(※)により母体にたばこの煙の有害物質が入り込みます。
たばこの煙には、ニコチンや一酸化炭素など200種類以上の有害物質が含まれているので、早産や自然流産、妊娠高血圧症候群や胎児発育遅延など、妊娠・出産に悪影響があるといわれています。
※「受動喫煙」ってナニ? ⇒ 周りの人のたばこの煙にさらされること。
出産後も赤ちゃんがたばこの煙にさらされると、喘息などの呼吸器疾患、中耳炎や乳幼児突然死症候群(SIDS)など、様々な病気にかかりやすくなります。
ママと赤ちゃんの健康を守るために、ママだけじゃなく、家族や身近な人にもたばこはやめてもらいましょう。
病院や薬局、保健所(保健福祉事務所)などが、たばこをやめる応援をしています。
神奈川県内の禁煙治療ができる医療機関などの情報は、こちらで御案内しています。
(ご協力)
国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター たばこ政策支援部
平野 公康氏
10代~30代の方が、将来の妊娠を意識して取り組む健康管理は、「プレコンセプションケア(プレコン)」と呼ばれ、現在、注目されています。
「プレコン」とは、プレ(pre=〜より前の)コンセプション(conception=妊娠・受胎)の略です。将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことで、子どもと、将来の母親・父親としての健康をしっかりつくっていこうという考え方なのです。
ケアの対象は、妊娠を望んでいる女性だけではありません。
男性も含めて、また、年齢は10代から対象となります。
女性やカップルが、生活にプレコンセプションケアを取り入れることで、生まれてくる子どもとその家族が健康的な生活を送ることに役立ちます。
自分の体を知っておく
10代〜30代の年齢のうちから、自分自身の健康状態をしっかり把握できている方は、それほど多くはありません。
とくに妊娠・出産は、女性の体に多くの負荷がかかるため、健康な体をつくり、維持する方法を知っておくことが、今後の妊娠・出産のためにはとても重要です。
女性の体はデリケートです。ストレスやホルモンバランスの影響などにより、さまざまな不調が起こりやすいため、注意しましょう。
プレコンでは、自分の健康状態を知ることの大切さは、男性も同じです。
体重の変化や、ストレス、健康診断などで生活習慣病のリスクを確認することなどを意識しましょう。
『今』ケアすることで未来が作られる
「将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される」という説があります。母親の妊娠前から妊娠中、授乳中の栄養状態が、生まれた子どもの健康や、病気にかかるリスクに関係しているといわれているのです。今、自分の食生活などを整えることで、生まれてくる子どもが、大人になってから病気にかかるリスクを下げられるかもしれません。
まずはこれ!今すぐにでも始めてほしい2つのこと
妊娠しやすく健康的な体は、一日ではつくれません。「プレコンセプションケア」をキーワードに検索すると、やるべきことが、たくさん並んでいるかもしれません。まずは次の2つから始めてみましょう。
1 適切な体重管理
過度なダイエットや不規則な生活のために、体重が、健康とされる値から外れている方も少なくありません。
適正な体重の目安となるのは、BMI(体重㎏÷⦅身長m⦆²) です。計算してみましょう。BMIの標準は18.5〜25未満ですが、日本人の場合は、22が「病気にかかりにくい」体重と言われています。
2 バランスの良い食生活
未来のために今から自分のケアを始めませんか
一人一人の方のライフプランもさまざまとなっている今、プレコンは、現在妊娠を望んでいる女性だけが対象ではありません。妊娠・出産の希望の有無や男女にかかわらず、プレコンの大切さを知った今日から少しずつできることを実践していくことが重要です。
未来の自分と、未来の大切な人のために、プレコンセプションケアを始めてみませんか?
監修:久保クリニック/水野 千鶴先生